第2回模擬裁判の事例

問題
 2002年1月、三菱自動車製大型トレーラーのタイヤが脱落して母子3人が死傷した。同社はすでに2002年6月、この死傷事故を受け、国土交通省が立ち入り検査をした際、自主回収した車軸周辺部品「ハブ」のうち、無作為抽出した約3割に構造的欠陥が疑われる亀裂(ヘアクラック)が入っていたとするデータを把握していた。それにもかかわらず、「結論が出ていない」などと虚偽の報告をしたほか、2004年3月、国交省にリコールを届け出るまでの間、虚偽報告を繰り返した疑いがもたれている。
  三菱「ふそう」株式会社は、三菱自動車の100%子会社として、同社からの会社分割によって2003年1月6日に設立された。その後、同年3月、三菱「ふそう」の株主構成は、ダイムラークライスラー社(以下「DC社」)が43%、三菱グループ各社が15%、三菱自動車が42%と変更された。この会社分割の趣旨は、商用車で世界トップの座にあるDC社との協業を加速化して国内外の事業基盤を強化し、「ふそう」の競争力を高め、世界的に存在感のあるグローバル企業に成長させることにあった。しかし、そうした旧財閥系のグループ経営からの脱皮の過程で、「ふそう」では競争力を市場の目的と置くDC社の意向を配慮する風潮が生まれた。そのために分社後も「ふそう」では、ハブ事故についてできるだけ無償リコールだけは避けたいという経営陣の方針が徹底していた。そのようなおり、神奈川県警と横浜地検は2004年5月、三菱「ふそう」の宇佐美隆・取締役会長(63)ら元幹部役員(取締役)等5人を、2002年の事故について証拠隠滅と道路運送車両法違反(虚偽報告)の疑いで逮捕した。

原告側:三菱自動車の現株主として
      「ふそう」の取締役に責任追及訴訟を提起するための立論をせよ。

被告側:「ふそう」の取締役として、
      この三菱自動車の株主の請求を拒む立論をせよ。


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